私たちは日常的に、さまざまな買い物をします。
金額の小さなものから、高額なものまで。そして、どうでも良いものから慎重に慎重を重ねて決断する商品まで、いろいろです。
しかし、どれだけ慎重に選択しても必ず起こるのが「買い物ミス」の存在です。
単に衝動買いしたものならまだしも、慎重に考え抜いて購入を決めたものが「失敗」だったとしたら、落ち込んだり後悔したりしてしまうのも無理はありません。
私自身、これまで何度も買い物に失敗しています。
しかしそうした失敗に対して私は「買い物ミス10%の法則」と名前を付けています。
つまり、どれだけ深く考えたり、どれだけ経験を重ねても、10回に1回ぐらいは失敗してしまうものだということです。
このように割り切ってしまうことが、「失敗した買い物の尾を引かない」「後悔しない」秘訣でもあります。
5万円出して買ったプリンターはほとんど使わなかった
以前、私はリコーのハンディプリンターを買いました。
持ち運びができて、あらゆる場所に手軽にプリント(印刷)ができる製品で、ネットでも「画期的な製品だ」と話題になっていたものです。
発売当初は品切れが続いていたこともあり、個人用・業務用を問わず購入した人も多いのではないかと推察します。
リコーのハンディプリンターは当初、他社メーカーから類似製品が出ていなかったこともあり、非常に高額で販売されていました。
私の購入価格は5.5万円です。(家庭用のインクジェットプリンターより高額です)
しかし買ってはみたものの、
- 思ったよりも使うシーンが少ない
- 使おうと思ったときにバッテリーが切れている
という状況になってしまい、ほとんど使うことはなく眠った状態でした。(使おうと思ったときにバッテリーが切れているというのは致命的でした)
結局、この製品は半値以下で売りました。
一般的な利用者を想定した製品ではないので、新製品でも中古価格は上がらなかったのです。
購入してから1年も経たないうちに、購入額の半値以下で手放すことになったのですから、私の気持ちも当然萎えました。
とはいえ、「自分にとっては(ほぼ)一生使わないのだから、「買い物ミス10%の法則」に基づいて、いっそ売ってしまった方が良い。」という判断です。
どれだけ高額なものでも、どれだけ悩みに悩んで購入を決めたものでも、10回に1回ぐらいは買い物で失敗するものです。
手放すときはつらいです。
何がつらいかというと「買い物に失敗してしまったバカな自分と、お金を失ってしまったバカな自分を受け入れるのがつらい」のです。
しかし、いざ売ってしまえば、自然とそうした気持ちもなくなります。
自分の失敗を自分で認めるのは精神的苦痛ですが、失敗を失敗と認めずに生きていくよりも、長期的には良い結果に結びつくと考えています。
若かりし頃は買い物で100%失敗していた
私が自分自身で服を選び、買うようになったのは高校生の頃からだったと思います。
高校生になってバイト代が手に入り、ようやく自由に使えるお金ができたので、自分自身の意思、お金で「買い物」をするようになりました。
しかし、若かりし頃というのはとにかく、すべての買い物に失敗していました。
良いと思って買った服は、なぜか家に持って帰ると極めてダサいものに変わっていました。
都会に行って、店員(ショップスタッフ)に声をかけられ、店員のいいなりのまま、服を買う(買わされる)こともありました。
学生時代の私は、社会経験がなさすぎて、買い物の仕方を知らなかったのです。
いま、中学、高校、大学生の方は同じようなことを感じているかもしれません。しかしそれで良いのです。
最初から買い物が上手くできる人はいませんから、最初は失敗を重ねながらも、失敗した自分を認め、次は失敗しないようにと試行錯誤することが大切だと思います。
私の場合だと、買い物という経験を何度も繰り返すことで、失敗は少なくなってきました。
例えば、
- 声を掛けてくる店員の言いなりにはならない(※)
- 服は購入前に必ず試着する
- できる限りその場で選ばず、事前にリサーチした上で、ある程度買う商品を決めて行く
といった、買い物の失敗を減らそうという取り組みを重ねてきました。
※最近は親切なショップ店員も増えましたが、私が高校生だったころは、ゴリ押しで酷い店員が多かったのです。
また、中学生、高校生の頃は恥ずかしかったのですが、少しずつ買い物に慣れていくことで、商品の良い点、悪い点などを店員に質問できるようになりました。
こうした経験を積むことで、買い物の失敗はかなり減らせます。
しかしそれでも、最終地点に「買い物ミス10%の法則」というものがあり、どれだけ大人になり、経験を重ねても、10回に1回ぐらいは買い物に失敗してしまうものなのです。
人は自分の失敗を認めたくないもの
これまで述べてきたように、経験上、私たちの選択には必ずミスが生じるものだと私は考えています。
今回は買い物を例に挙げましたが、これは恋愛で異性を選ぶ場合や、自分の進む道(例えば就職とか)を選ぶ場合でも同様です。
自分が「これだ!(間違いない!)」と思って選んだものでも、ときとして、その決断は誤りとなります。
大切なのは、自分がなんとなく「ミスったな」と感じたときに、その気持ちを大切にし、失敗を認めることができるかどうかです。
人は自分の失敗を認めたくない生き物です。(こうした心理をサンクコスト効果と言います)
特に自分が「自信が持てる」と感じている分野において、その効果は大きくなると感じます。
例えば、ファッションに自信を持っている人は、服選びの間違いを自分で認めることが難しい。プロフェッショナルである科学者が、自分の研究のミスを認められず、研究結果を偽装してしまうなど。
事実そうした「失敗したと思っても後戻りできない心理」を巧みに利用したマーケティング、販売戦略も存在します。
誤ってダサい服を買ってしまったとき、「これはダサくないんだ」と自分に言い聞かせて「なんとなく嫌な気持ちでその服を着る」。こうした経験はないでしょうか。
しかし、「買い物ミス10%の法則」に基づいて、失敗した選択に見切りをつけられるようになれば、選択の回数を増やすほど正しい方向へと向かっていけるはずです。
失敗に見切りをつけると晴れやかな気持ちになります。
私自身、これまでも、そしてこれからも、買い物はじめ、あらゆることで間違った選択をすると思いますが、そのたびに「バカな自分」を受け入れ、より正しい選択ができる体制を作っていきたいと思います。
自分で自分の間違いを認め、受け入れることは、次の正しい選択への構えを作ることなのです。