かなり前の話です。
採用面接で不採用となった子に対して、採用見送りのメールを送信したところ、その子から返信があり「落ちた理由」を聞かれました。
「不採用になったことは承知しましたが、もしよろしければ理由を教えてもらえませんか?」という具合です。
おそらく、採用面接をしている企業にとって、面接者に「落ちた理由」を聞かれることは、よくあることだと思います。
また、就職活動や転職活動、アルバイトなどで採用面接を受ける多くの方が「不採用になった理由」を知りたいと感じていると思います。
しかし、決して明かされることのない「理由」について、少し考えてみて欲しいのです。
理由がわからない時に覚えておくと役立つ3つのこと
この記事では「採用面接」を例に挙げて話を進めますが、人生では「理由がわからない」「理由を知りたくても知ることができない」というシーンに山ほど遭遇します。
私自身も、過去に同じようなことで悩んだり、落ち込んだことがたくさんありました。
理由が知りたい、でもそれを知ることができない時は、以下の3つのポイントを意識して考えてみてください。
この3つのポイントは矛盾していますが、そのすべてが正解なのだと私は考えています。
理由を考えることは大切
例えば、採用面接に落ちてしまった時、その理由を深く考えることは大切です。
- 服装や姿勢、態度に落ち度はなかったか
- 質問への回答に問題点はなかったか
など、自分が思う「落ちた理由」を考えます。
冒頭で述べた「落ちた理由を聞いてきた子」は、おそらく自分なりに不採用になった理由を考えたのだと思います。
それでも理由がわからなかったため、正解が知りたくて私にメールで「落ちた理由」を聞いたのでしょう。
繰り返しますが、たとえ「答え」がわからなくても、その理由を考えることは大事です。
なぜならそれが、成長につがるからです。
答えを知ることができない状況で、その答えを知るためには、自分なりに仮説を立てるしかありません。
答えがわからない状態は心理的に辛いものですが、そのような中で自分なりに見つけた「答え(仮説)」から、私たちは改善(成長)へとつながるきっかけを生み出すことができます。
明確な回答が得られない世界で、自分なりの答えを見つけ、その答えを手がかりに前進するという作業は、意外と多くの人がやっていません。
しかし、この作業は自分の頭で考える力を養ってくれる貴重なチャンスでもあるのです。
理由がないこともある(理由を考えないことも大切)
しかし、全く別の視点に立って見ると、実は「原因が自分にはない」こともあるのです。
この視点は、面接で言えば採用する側の立場を経験してみないと気づきにくいと思います。
面接を受けて落ちた。でも自分には何の落ち度もなかった。では、なぜ自分は落ちたのか。
考えられる理由は様々ですが、
- 前日の夜に、採用予定人数に達してしまった
- 採用方針を変更し、急遽募集を打ち切った
- (表面上は禁止されていますが)最初から特定の性別や年齢の人だけを採る方針だった
- 担当者にノルマがあり、一定人数は面接に呼ばなければならなかった
など。
面接を受ける側からすると、納得できるものもあれば理不尽なものもあるかもしれません。
しかし、理由はなんであれ「面接する側の問題」が不採用の原因になっていることもあるということです。
つまり「面接する側の問題」で不採用になったのであれば、自分に落ち度はないわけですから、悩んだり落ち込んだりする必要はありません。
相手に原因があるのだから、自分に自信を持ち、落ちたことを気にせず、気持ちを切り替えて次の面接に臨むというのが正しい姿勢です。
- 理由を考えることは大切
- 理由を考えないことも大切
この2つは矛盾していますが、どちらも正解です。
私の経験上、1.に長けている人は2.に弱い気がします。(逆もしかり)
理由ばかり考えてしまう1.タイプの人は、反省と改善を繰り返して成長するが、自尊心を失ってしまいがちです。こういう人には「自信を持て、気にするな」とアドバイスしたいです。
逆に、自分に理由がないと考える2.タイプの人には「もう少し理由を考えなければ、さらなる成長がないぞ」とアドバイスしたいです。
この2つを言い換えると、1.は責任は自分にあると考え、2.は責任は自分にないと考えるタイプだということです。
また、私が思うに「社会的に成功している(上手く行っている)のは2.の人に多く、優れた人になるのは1.の人に多い」です。
2.は「成功者」、1.は「優等生」というとわかりやすいでしょうか。
どちらが優れているわけではなく、相反する2つの面をバランスよく使い分けたり、ミックスして考える術を身につけることが大切です。
1.タイプの人は2.の面を磨き、2.タイプの人は1.の面に磨きをかけてみてください。
理由を聞かずに去る勇気
理由がわからないとき、その理由を聞くべきかどうか、立ち止まって考えてみてください。
人は「答えが知りたい生き物」なので、できることなら面接で落ちた理由を聞きたい人が大半だと思います。
しかし「理由を聞かずに去る勇気」を持つことも、時には重要です。
「あえて理由を聞かない」のは、自分が傷つくことを恐れた結果ではなく、相手への配慮です。
つまり、相手の立場になってはじめて「理由を聞かずに去る勇気」の大切さがわかります。
もし、面接担当者が「落ちた理由」を答えてしまったら
- 他の人に聞かれた場合も、同じように答えなくてはならなくなる
- (たとえあなたが口外しなくても)落ちた理由を口外されるリスクを背負うことになる
- 場合によっては建前として別の理由を考えなければならなくなる
などの負担を背負うことになります。
理由が知りたくてもわからない時は、自分の中のモヤモヤを飲み込み、
- 理由を深く考える大切さ
- 理由を考えない大切さ
- 理由を聞かずに去る勇気
を持って、次のステップへと歩んでください。