はてなのこたえ

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もはや時代はリアル店舗?ネット通販よりもリアル店舗の方が安くて驚いた話

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新型コロナウイルス問題をきっかけとして、あらゆる分野でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進むと言われています。

以前からすでに「ネット社会」になりつつありましたが、コロナきっかけでより一層、ネット主権へとシフトしていくのだと思います。

特に最近の若い方は「Z世代」と呼ばれており、インターネットがあって当たり前の時代に生まれ、ネットを駆使してあらゆることを効率よくこなしているのだとか。

日常の買い物も、コミュニケーションもすべてネットで行う時代。

私自身も、リアル店舗よりもネット通販を利用することの方が多いですし、対面や電話よりもメールやチャットを利用することの方が多い人間です。

しかし先日、リアル店舗で買い物をしたとき、衝撃的なことがあったので共有します。

洗濯機を買い替えた

先日、洗濯機を買い換えました。

気合を入れて、最新のドラム式洗濯機を買うことにしました。

私はいつも、Amazon、楽天市場、ヨドバシ.com、カカクコムあたりの通販サイトを最初に確認します。最近はポイント還元に力を入れている、PayPayモールも見るようになりました。

どのお店でも、販売価格は30万円をやや上回る金額で、現金販売に強いカカクコムだけ、26万円台で同じ洗濯機を売っていました。

最近はどの大手通販サイトも、販売価格は高めで、ポイント還元率の高さによって「実質販売価格を下げる」戦略です。

私は、販売価格からポイント付与分を差し引いた「実質販売価格」の一番安いお店で買うようにしています。

その結果、ヤマダ電機(楽天市場店)が実質27万円台、その他の通販サイトが実質28万円台、ヨドバシ.comが実質29万円台となっており、26万円台で販売しているカカクコムのお店が最安値でした。

ただ今回は、大型家電を購入することもあって、既存の洗濯機を引き取ってもらったり、洗濯機を配送・設置してもらう必要があったため、そうしたオプションの充実と信頼性の点から、実質27万円台で買えるヤマダ電機(楽天市場店)で購入することに決めました。

通常の販売価格が30万円を上回る金額、ヤマダ電機@楽天市場ならポイント考慮で実質27万円台で買えるわけですから、2、3万円はお買い得です。

ただ、買う前に一度、ヨドバシカメラ(リアル店舗)に出向いて、現物の製品を見ておくことにしました。

リアル店舗でネット通販よりさらに4万円も安く買う

ヨドバシカメラ(リアル店舗)に行くと、ヨドバシ.comでは30万円以上で販売していた同じ製品が、ヤマダ電機@楽天市場とほぼ同じ価格で売りに出されていました。

ヨドバシカメラの場合、さらに10%のポイントが付きます。

加えて、平日配送ならさらに1万円値引き、さらに既存の洗濯機の引き取りで1万円値引き、合計2万円の値引きをしてくれると、値札には書いていました。

ネット通販では、平日配送や洗濯機の引き取りで値引きしてくれるようなことは一切ありません。

結果、ヨドバシカメラ(リアル店舗)での実質販売価格は23万円台でした。

ネット通販で買うことしか考えていなかった私(ネットの方が安く買えると信じていた私)は、ネット通販の中で最も価格の安いヤマダ電機@楽天市場で買おうと思っていたわけですが、リアル店舗に足を運んでみると、そこからさらに4万円も安い価格で同じ商品が売られていたのです。

これまでネット通販は、

  • 店舗を構えなくても良いので賃料がかからない
  • 販売スタッフなどの人件費を削減できる

などの理由で「リアル店舗よりも安く、早く商品が買える」とされていました。

しかしネット主権となった現在においては、「ネット通販の方が安い」という定説は崩れ、むしろリアル店舗にこそチャンスがある。というケースも出てきたのではないかと思います。

「楽天市場が安いかなー、ペイペイモールの方がいいかなー。」などと考えているのが情けなるぐらい、ネット通販とリアル店舗の間に大きな価格差があったことは、私にとって驚きでした。

私はただ、ネットの世界だけで物を比べ、バーチャルな世界でポイントを比較し踊った挙げ句、最も安い価格で商品を買えた賢い消費者だ。と思っていたわけです。

商品を買う場合、多くの人が価格の比較をすると思いますが、皆さんは

  1. ネットしか見ない
  2. リアル店舗しか見ない(ネット通販は利用しない)
  3. ネット通販もリアル店舗も両方チェックする

という3つのうち、どの方法を選んでいますか?

私自身は、いつの間にかネット通販の利便性、価格が安いという定説に負けて①の方法に偏っていたように思います。

たしかにネット通販はその昔、リアル店舗よりも販売価格は安く設定されていました。しかし今では、ネット通販の販売価格は上がってきており、「ネット通販の方が安いとは決して言えない」というのが私の感覚です。

Uber EATSやDiDi Foodの値段

私の住む地域では、フードデリバリーサービスの「Uber EATS(ウーバーイーツ)」や「DiDi Food(ディディフード)」の自転車が街中を走り回っています。

Uber EATSやDiDi Foodは、マクドナルドなどの大手から、個人経営のレストランまで、様々なお店の料理を自宅に配達してくれる「出前」サービスです。

まだ一部の地域でしかサービスを提供していないため、見たことがない方も多いと思いますが、今、東京都内や大阪市内では、UberやDiDiのロゴが付いた配達用リュックを背負って自転車をこいでいる人で溢れています。

それくらい、フードデリバリーサービスを利用する人が増えているということです。

私も先日、試しにDiDi Foodを使って出前を頼んでみました。

「あの有名店の料理が自宅で楽しめる。」というのは夢のような話です。

自宅から一歩も出ることなく、スマホをちょっと操作するだけですぐ、美味しい料理が届く。

とても便利なサービスですが、その裏には出前用のラッピングや容器代、そして配達コストがかかっています。

加えて、とある雑誌の情報によると、UberやDiDiに支払うサービス利用料が商品代金の30%~40%にもおよぶようなのです。

これらのコストを負担するのはすべて店舗側で、私たち消費者にはただ、それらが間接的に販売価格に転嫁されているだけです。

わかりやすく言うと、実際にお店に出向いて料理を食べるのと、Uber EATSやDiDi Foodで注文した出前の料理を食べるのとでは、同じ料理でも、

  • 販売価格が違う
  • 販売価格は同じだがサイズ(量)が違う

といったことが起こるのです。

実際にお店に出向いてリアル店舗の価格をチェックすれば(あるいは食べログやぐるなびなどで調べてもいいでしょう)、Uber EATSやDiDi Foodを使って頼んだ場合との価格差を知ることができます。

しかし、価格は据え置きで、デリバリー用に料理のサイズが小さくなっているケースでは、両者を実際に食べ比べてみないことには、その差は比較できません。

実際、そこまでする人は少ないでしょうから、多くの人はUber EATSやDiDi Foodで出前を注文し、「この価格、このサイズでお店でも料理が提供されているんだなー」と思いながら、実質的に高い料金を払っているわけです。

もちろん、利便性の裏にはしっかりと手数料が乗っていることを認識していれば問題ないのですが、この点を見落としてしまうと、消費者として実はとても損しているのに、それに気づいていないかもしれないのです。

なぜネット通販とリアル店舗の価格に差が出るのか

繰り返しますが、ネット通販の方が構造的に

  • 店舗を構えなくても良いので賃料がかからない
  • 販売スタッフなどの人件費を削減できる

という点で優れており、商品価格を安価に提供することができます。

しかしそれは昔の話。

今はネット主権の時代になり、ネット通販の利用者が増えたことで、物流費が高騰しています

たとえ送料無料でも、配送費は間接的に販売価格に転嫁されています。

ネット通販は「あらゆるものが売っていて、すぐ届く」ことが強みですから、あまり売れないニッチな商品も抱えなくてはなりません。そのために、巨大な倉庫が必要ですし、そこで働く多くの人材も必要です。

また、IT企業(特にUberやDiDiのような先進的なIT企業)においては、優秀なエンジニアを集めることが極めて重要な課題となっていることから、エンジニアの人件費も高くなっています。

加えて、商圏が全国・全世界におよぶIT企業は競争の激しい業界ですから、競争に打ち勝つために、多額の広告費なども必要。

こうした背景が、Uber EATSやDiDi Foodがお店から30%~40%の手数料をとっても赤字になる理由ではないでしょうか。

一方、リアル店舗はどうでしょうか。

販売スペースに限りのあるリアル店舗では、売れ筋商品だけを厳選して置かなくてはなりません。

巨大な倉庫にニッチな商品を抱えることは到底できないため、もうすぐ古くなる製品については、処分売りなどによって在庫調整をする必要があります。

また、リアル店舗に訪れるのは基本的に近隣に住む方々なので、大型の家電製品でも配送コストは安く済みます。

ネット通販の普及によって、リアル店舗はショールーム化するなどと言われていました。

しかし私たち消費者は、今こそリアル店舗に足を運ぶメリットを再認識すべきなのかもしれません。

DXが進むと一生の買い物まで見ずに買う

これからDX(デジタルトランスフォーメーション)がさらに進み、Z世代が社会の中心になると何が起こるのか。

あくまでも私の推測に過ぎませんが、この流れがさらに強くなると、人々はあらゆるものについて「実物を見ることなく購入を決める」ようになると思います。(もちろん全員が全員とは言いませんが)

最近は、投資用の不動産物件も、一度も見ることなく購入を決め、管理を任せて家賃だけを受け取るという仕組みができているようです。

そして実際、そうしたサービスを利用する人がいるのです。

しかし、インターネットというバーチャルの世界では「都合の良いところだけをより良く見せ、都合の悪いところは隠して存在しないものとする」ことが可能です。

例えば不動産物件で言えば、外壁もきれい、内装もきれいで設備も整っている、あらゆるスペックが優れている物件でも、実は隣にヤクザの事務所がある。という感じでしょうか。

実際に足を運んで自分の目で見れば、物件の隣にヤクザの事務所があることはすぐわかるのに、インターネットでは良い点だけが強調され、悪い点は見せないことで、その存在をなかったことにできます

DXがさらに進み、一生の買い物まで一度も見ずに買う人も出てくるかもしれませんが、「そこには落とし穴があるかもしれない」ということを頭に入れておきたいです。